過保護なドクターととろ甘同居
振り向いたダイニングキッチンの入り口に入ってきた先生は、昼間見る聴診器を首に引っ掛けた白衣を羽織った姿だった。
今日の夕方、十七時の外来診療終了後、先生は一件、帝王切開で出産する患者さんのオペがあった。
この時間に白衣でいるのは、その患者さんの経過観察で診察に出ていたのだろう。
「まだ起きてたのか」
「あ、はい。何か、寝付けなくて。先生は……お仕事中ですか?」
「ああ、でもちょっと休憩だ」
私がいるキッチンに入ってきた先生は、置いてある品々に目を留める。
「それって……」
「あ、エスプレッソメーカーです。前の家で使っていたものを持ってきていて」
「本格的だな」
興味深そうに私の手元を見る先生の様子に、『あっ』といいことを閃く。
先生は私がバイトしていたお店に訪れると、ほとんどの確率でカフェモカを注文していた。
「あの、もしよければ、カフェモカ飲みませんか? お好きですよね?」
「俺が注文してたの、覚えてたのか?」
「あ……はい」