過保護なドクターととろ甘同居
「言い方悪いかもしれないけど……わかって良かったんじゃないかしら?」
木之本さんは箸を置き、気遣うような口調で静かにそう言った。
「そういう人だったんだって、吹っ切れるし、逆に別れて正解だったと私は思うわよ」
木之本さんの言うように、ショックの分だけ吹っ切れた部分もある。
話し合って別れたものの、その理由は曖昧で、決定的な何かがあったわけではない。
ただ、そろそろ潮時。
そんな理由で別れたから、すっきりしていないところも、実は心のどこかにあったのかもしれない。
だけど、あんなものを見てしまった今、私の中で完全に終止符が打てたのは間違いない。
「そうですね。私も……そう思いました」
弱々しくもありながら笑顔を作る。
木之本さんは黙って優しく微笑み、力強く頷いてくれた。