過保護なドクターととろ甘同居
「なんて男なのよ、それ!」
昼休み。
宮城さんの怒りに満ちた声がスタッフルームにガンガン響く。
昼休みに入り、私の様子がおかしかったことに気付いた宮城さんは、さっきの一件をスタッフルームに戻ってから知った。
それからこの調子で、興奮状態が続いているのだ。
「要するに、三枝さんと同棲しながら、他にも女がいて、そっちは妊娠してたって話でしょ? どうしたらそんな器用なことができるわけ?!」
本来なら私がこの勢いで怒らなくてはいけないのに、宮城さんがその代わりに怒りをぶちまけている。
お弁当の箸を休めて「宮城さん」と、木之本さんがそれを宥めた。
「すみません。仕事中に、私情で混乱させてしまいまして……」
あの後の私は全く使い物にならなかった。
頭がぼうっとしてしまい、患者さんににこりと微笑むことも難しかった。
もう、俊くんとのことは終わったこと。
だけど、付き合っていた頃にすでにそういう相手がいたという事実は、簡単に流せるものではなかった。
妊娠していた俊くんの相手は、私より若い子に見えた。
受付けに現れた時も、にこにこと幸せそうな顔を見せていた。
こんなこと、何もかも知りたくないことだった。