過保護なドクターととろ甘同居
「付き合わないか?」
「えっ、私が、ですか?」
「飲めないのか」
グラスを片手に、先生は端正な顔に微笑を浮かべる。
テーブルにあるのは、見るからに値が張りそうなウィスキーとロックアイス。
お酒は飲めなくはないけれど、私が飲むのはビールやチューハイばかり。
ウィスキーなんて大人の飲むお酒は今まで未体験だ。
「飲めなくはないですけど……」
控え目に答える私を目に、先生は「じゃあ付き合え」とソファーを立ち上がる。
リビングからダイニングキッチンへと続く扉の先に消えていくと、すぐに同じロックグラスを手に戻ってきた。
座っていた位置を少しずれて掛け直し、黙って新しい一杯を作り始める。
大きな氷がグラスに入り、カランといい音が鳴り響いた。
「何かで割るか」
「えっ、あ、どちらでも、大丈夫です」
「結構キツめかもしれないぞ」
作ってもらっておきながらあれこれ注文をするもの悪い気がして、「少しずついただきますので」と答えてみる。
私の返事を聞いた先生は「そうか」と言ってグラスに半分くらいのウィスキーを注いだ。