過保護なドクターととろ甘同居
“滝瀬さん”というその女性は、どうやら個人的に先生と会うために来院したらしい。
キャンバス地のママバッグと一緒に持っている紙袋を受付けの台へと置くと、「これ、皆さんでどうぞ」とにこりと微笑んだ。
「あっ、ありがとうございます」
受け取りながらチラリと見えた紙袋の中身には、たくさんのスティックケーキがぎっしりと入っていた。
「午前の診療、もうすぐ終わりますよね? ここで待たせてもらってもいいですか?」
「はい、大丈夫です。少々お待ちくださいね」
受付けの内側で午後のカルテ出しの続きをしながら、待合室の椅子に掛け赤ちゃんをあやす滝瀬さんの姿を時折目にしていた。
ここで出産された、患者さんだろうか?
私が勤めてからは、来院した記憶はない。
診察を受けた患者さんが出てきて、お会計をする前に中へ顔を出す。
滝瀬さんという方が先生をお待ちになっていることと、頂き物をしたことを伝言した。