過保護なドクターととろ甘同居
病院を出て、前の通りの左右を見渡すと、駅方面へと向かって歩いていく先生の後ろ姿を発見した。
すかさずその後を追いかけていく。
街路樹や自動販売機の影に隠れながら、小走りで距離をつめ、途中で手にしていたサングラスを装着した。
口元は巻いたストールで隠し、顔には大きなサングラス。
その上、この明らかに怪しい動き。
はたから見れば、もう完全に不審者にしか見えない。
尾行をしながら、自分は一体何をしているんだと思っていた。
考える前に勢いで後をつけてみようなんて思ってしまっていた。
どこに行くかとか、だれと会うかとか、それを確かめるためにこんなことをするなんて悪趣味すぎる。
だけど、どうしても働いてしまった勘が確かなのか、この目で見ないと気が済まなかった。
次第に最寄り駅が近付き、人通りも多くなってくる。
駅からどこかに向かうのか、それとも駅で待ち合わせをしているのか。
先生の足が駅前近くの広場で不意に立ち止まり、慌てて近くの木の影に身を寄せる。
その距離、約二十メートルほど。
サングラス越しの目を凝らし、じっと様子を窺っていると、先生が頭を下げるのが見えた。