過保護なドクターととろ甘同居


駅方面から足早に先生へと近付いてきた姿を目にして、ハッと息を呑んでいた。

見覚えのある、真っ白なダッフルコート。

今日はグリーンとネイビーのチェック柄の膝丈スカートを履いて、体の前には抱っこ紐に赤ちゃんを抱いている。

胸騒ぎを似た勘は、やはり的中していた。

そこに現れたのは、にこにこと笑みを浮かべて頭を下げる滝瀬さんの姿があった。


ああ、やっぱりそうか。

そんな思いで、サングラスをずらして言葉を交わす二人を見つめる。

宮城さんの言っていた通り、やっぱり二人はこうして休日に約束をする仲だったのかと、とうとうこの目で確証を得てしまった。

ふらりと、来た道を足が戻っていく。

何故だかズキズキと心臓が痛む。

やまない鼓動の高鳴りを落ち着かせるように、胸の辺りを何度も叩いていた。

そして、気付けば無意識のうちに、競歩のような速さで病院への道を帰っていった。

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