過保護なドクターととろ甘同居


「……そんなとこで、何してるんだ」


現れた先生は階段の上を見上げ、不思議そうな顔をして足を止めていた。

慌てて立ち上がりながら、私の目は先生の腕の中に釘付けになる。


「え、せっ、先生こそ、その赤ちゃん……」


だって、その腕には赤ちゃんが横抱きにして抱かれている。

ピンク色の暖かそうなポンチョを掛けられた女の赤ちゃん。

滝瀬さんの子の性別は知らないけれど、このタイミングで先生が連れて帰ってくるなんて、彼女の子としか説明がつかない。


先生がどうして、滝瀬さんの子どもを?

もしかして、これから滝瀬さんと一緒にここで暮らしていくことになって……。


「数時間ばかり、うちでお預かりすることになって連れてきたんだ」

「……え?」


そんな話の真っ最中、先生が抱いている赤ちゃんが泣き始める。

先生は特に慌てた様子もなく、「手が空いてるなら手伝え」と言い、踵を返して下へと下りていった。

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