過保護なドクターととろ甘同居


「ところで……何で彼女の子だって知ってたんだ?」

「え?」

「さっき、話をする前に“滝瀬さんの子”って言ったよな?」


そう言われて、ギクリとしてしまった。

色々慌てながら話していたら、私が知らないはずの滝瀬さんの名をうっかり出してしまっていた。

指摘をされて、まずいと口ごもる。

明らかに動揺している様子の私を目に、先生は「何か隠してるな?」と口角を上げる。

その表情に怒っている色は見受けられず、私は観念して小さく息を吐き出した。


「ごめんなさい。実は……さっき先生の後をつけてしまいました」


正直に告白した私を、先生は黙って見つめている。

ミルクを飲み終わった赤ちゃんを縦抱きにし、背中をポンポンと叩き始めた。


「先生が……滝瀬さんと特別な関係じゃないかと、皆さんから聞いていて」

「特別な関係? 何だそれ」

「え、いや……病院の外でお会いしているようだし、何かあるのではないかって。それで、どうなのか確かめてみてって。あ、でも、尾行なんてしちゃったのは私が勝手にしてしまったことであって、その……」

< 95 / 144 >

この作品をシェア

pagetop