過保護なドクターととろ甘同居
「ところで……何で彼女の子だって知ってたんだ?」
「え?」
「さっき、話をする前に“滝瀬さんの子”って言ったよな?」
そう言われて、ギクリとしてしまった。
色々慌てながら話していたら、私が知らないはずの滝瀬さんの名をうっかり出してしまっていた。
指摘をされて、まずいと口ごもる。
明らかに動揺している様子の私を目に、先生は「何か隠してるな?」と口角を上げる。
その表情に怒っている色は見受けられず、私は観念して小さく息を吐き出した。
「ごめんなさい。実は……さっき先生の後をつけてしまいました」
正直に告白した私を、先生は黙って見つめている。
ミルクを飲み終わった赤ちゃんを縦抱きにし、背中をポンポンと叩き始めた。
「先生が……滝瀬さんと特別な関係じゃないかと、皆さんから聞いていて」
「特別な関係? 何だそれ」
「え、いや……病院の外でお会いしているようだし、何かあるのではないかって。それで、どうなのか確かめてみてって。あ、でも、尾行なんてしちゃったのは私が勝手にしてしまったことであって、その……」