初恋マニュアル
何人かいる部員の中に、こないだ夏祭りで会った男子達が見えた。


由宇ちゃんの彼氏の五十嵐くんもいる。


でもその中に羽生くんの姿は見当たらなかった。


視線をトラックに移すと、見覚えのあるフォームで走っている人が見えた。



――三浦くんだ!



相変わらず、きれいなフォームだなぁと思う。


自然と目が、走っている三浦くんの姿を追っているのに気づいてハッとした。


ちがうちがう!三浦くんじゃなくて、羽生くんを探してたんだってば。


もう一度、五十嵐くんたちのいた辺りを探してみたけど、やはり羽生くんの姿は見えない。


部活に出てないってことは、もう帰ったのかな?


それとも、また教室に戻ったの?


よくわからなくて、私はいつの間にか羽生くんに返信していた。



『こんにちは、丸山です。あの、今日は部活じゃないんですか?』



まだなれなくて敬語になってしまったけど、仕方がない。


だってまだまともに話したことなんかないし、三浦くんにも最初は敬語だったはずだ。


送信して、脱いだ上ばきを下駄箱にしまうと、スマホを手に持ちながらもう一度外へと出た。
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