初恋マニュアル
だんだんヒートアップする愛里に私はひとまずあやまった。



「……ごめん」



ここはあやまるのが一番早い解決法だ。



「あ、愛里も部活でしょ?私のことは気にしなくていいから、行っていいよ?」



話題を変えてそう言うと、とたんに愛里は心配そうな顔をする。



「美羽、一人で大丈夫?」



自立しろってうるさくいうくせに、まだまだ愛里は私に甘い。


なんだかおかしくなって笑いをこらえるように大丈夫だってことを伝えた。



「うん、大丈夫!愛里が部活やるようになってから、ちゃんと一人で帰れるようになったし。私、強くなったよ?愛里」



にっこり笑って安心させるようにそう言うと、愛里は少しだけさみしそうに笑った。



「そっか、わかった……じゃあ、がんばってね?」



「ありがと。愛里も部活、がんばってね!」



バイバイと手をふりながら愛里を送り出すと、私はだれもいない教室に一人になった。


日誌を書き終えてから、黒板へと向かう。


六時間目の授業で使われた、白いたくさんの数字が残ったままだ。
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