初恋マニュアル
まさか私がそんなこと言うなんて思わなかったんだろう。


あれだけたきつけてたくせに、心配そうな顔を見せる。



「うん、本気だよ?」



ニッコリ笑ってそう言えば、愛里は目を丸くして、それから静かに息をはいた。



「なーんか美羽、ちょっと大人っぽくなった気がする」



さみしそうな笑顔は、親が子を旅立たせるようなものなのかな?



「そう……かな?」



「そうだよ」



高校に入学したばかりのころ、私は愛里と一緒に帰れなくなっただけで、トイレで泣いてるような子供だった。


だけど、三浦くんを好きになって、いろんなことを考えて、私は少しずつ大人になっていったのかもしれない。


そして今、いろんな覚悟が私を強くする。


もうフラれることをこわがってたあのころの私じゃない。


もし、三浦くんが過去になにかあったとしても、私はそれを支えたかった。


たとえフラれたとしても、友達でいられる自信もできたような気がする。
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