浅葱色の鬼
山崎を先に紅音のところへやり

紅音が囚われている屋敷に押し入る




憎しみで刀を振ることは、辞めよう

罪なき人を守ろう



そう心に決めていた




愛すべく紅音を助けるという

体の良い、人斬りを紅音は、どう思う?




憎しみで鬼と化す俺を













「紅音!! ……山崎 紅音は…」



飛び込んだ部屋で
すさまじい血の海を見た

その中で横たわる紅音は
初めて会った時より、白い肌


「出血が酷すぎや
今、止血してんねんけど
ここから動かされへんし
どないもでけへん
治癒する前に、死んでしまう」


山崎が手拭いで抑えている
首筋からは、まだ血が出てくる


山崎が焦って口走る
死の一文字に

頭をガーンと殴られたみたいに
めまいがする



「にやあん」



不安そうに永倉の懐から出てきた蒼が
紅音の小傷を治癒していく


「ひでぇ 女にこんな事するなんて…」

「うむ 残忍だ…」


「死なないって… 言ってたじゃねぇか!」


俺は、山崎を退けた


「副長!!あかんて!!
止血辞めたら、ホンマに!!」


「紅音!!俺は、2度と紅音を置き去りにしないと約束する!もう、泣かせない!
必ず迎えに行く!どんな戦に行っても
絶対に生きて帰る!紅音より、長生きしてやる!紅音が言ったんだろ!!
俺の妻にしてくれって!!
だから… 俺に力を使わせろ!!!」



何を言ってんのか、わけわかってなかった

心のままに、紅音への気持ちをぶつけ


紅音が俺にしたように


両頬を包み



〝傷よ!癒えろ!!!
紅音!生きろ!!〟



願いながら、口づけをする


蒼に力を借りたときみたいに
体の感覚が消えた



だんだんと感覚が戻り、紅音の口内から
血の味がした


触れあっていた紅音の舌が動くのを感じ

唇を離した


急激に睡魔に襲われ




目の前が、真っ暗になった





疲れた…




こんなに疲れたことあったか?





紅音は、無事だろうか


















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