浅葱色の鬼
生まれ育った社(ヤシロ)は、すでに護る者も絶え廃墟となっていた

それでも、崩れずに持ち堪えていたのは
私の帰りを待っていたのでは?
と、思わせた



「ただいま」



年が明ければ、19になる
50年近くここを離れていたと考えれば
荒れ果てたこの景色も納得がいく


所々、抜け落ちた床に気をつけながら
私の部屋を目指す



外からは、想像もつかないが
私がいた頃のまま
時が止まっていたようで

まるで… 掃除をした後みたいだった




「疲れた…」




力をたくさん使い、眠気に耐えながら
ここまで歩いた




色々あった…




あり過ぎた




怠いが、文机に向かい
自分宛に、文を書いた








眠ろう







そして







忘れよう











命の力を使い


私は、蒼… 蒼佑の記憶
としさん そして、新選組の皆の記憶を
全て消した






さよなら
















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