クールな王太子の新妻への溺愛誓約

「たいしたことではない」


マリアンヌが静かにお礼を言うと、レオンは照れたように目線を逸らした。


その後も、マリアンヌたちが行くところには人の群れも一緒に動き、「マリアンヌ様にこれを」と言っては、端正な刺繍の施されたハンカチや絹織物、新鮮な野菜や果実を手渡された。
マリアンヌの弾むような笑顔を見ているうちに自然とレオンの顔も綻び、回り終える頃には人々がレオンにも気兼ねなく話しかけるようになっていた。

(やっぱりレオン様と一緒に来てよかった)

マリアンヌもそんな様子を見て嬉しく思うのだった。



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