クールな王太子の新妻への溺愛誓約
その笑みにマリアンヌは胸がいっぱいになる。まだ控えめにではあるが、レオンは確実に笑えるようになっている。そのことだけで嬉しかった。
「ありがとうございます。では」
「私が拭こう」
「あ、いえ、自分で」
そう言って遮る間もなく、レオンの手がマリアンヌの左腕に伸びる。
そしてドレスの袖を少しまくった時だった。マリアンヌの火傷の痕がレオンの目にさらされる。
恥ずかしさからマリアンヌが咄嗟に右手で覆ったものの、それだけで隠せるものではなかった。
「……マリアンヌ、それは?」
レオンが顔を強張らせる。
「あ、えっと……火傷の……」
マリアンヌは言いづらそうに小さく答えた。
もしかしたら、このような痕の残った女を妃として迎えるわけにはいかないと思われるかもしれない。