クールな王太子の新妻への溺愛誓約

レオンの表情から、マリアンヌはよくない想像しかできなかった。


「火傷?」


レオンが訝しむ。


「……はい」

「悪いが、ちょっと見せてもらうぞ」

「えっ……」


レオンがマリアンヌのドレスの袖をまくり上げる。
レオンの顔があまりにも真剣に見えたため、マリアンヌは拒絶できなかった。

(どうしよう……。やっぱりこんな傷痕がある女性は嫌がれるかも……)

マリアンヌの手が震える。

レオンはマリアンヌの火傷の痕をまじまじと見つめ、悩ましそうに首を捻っていた。


「この火傷はいつ?」

「……幼い頃です」

「幼いっていくつ」


矢継ぎ早な質問をされ、マリアンヌは黙り込む。答えられないのだ。記憶がないのだから。

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