クールな王太子の新妻への溺愛誓約

「どうか私をレオン様のおそばに置いてください。レオン様と一緒にいたいのです……」


切実に訴えた。

どうしてここまでレオンを慕うのか、マリアンヌは自分でもわからない。ただそばにいたい、離れたくないと心が叫んでいた。


「マリアンヌはなにか誤解をしている」


レオンが表情をふっと和らげる。


「……誤解?」

「私がマリアンヌをピエトーネへ帰そうとしていると?」

「……はい」


記憶はない、腕にひどい傷を負っている。そんないわくつきの妃などいらぬと。


「そんなことは考えていない」

「本当ですか……?」


重苦しい雲に覆われていた空に、ひと筋の光が差すようだった。レオンの言葉にマリアンヌの気持ちがにわかに軽くなる。

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