クールな王太子の新妻への溺愛誓約
ベティは呆気にとられたような表情でマリアンヌを見るが、彼女もレオンの真意はわからない。当惑した表情を浮かべることしかできず、ふたり揃ってレオンの後について行くしかなかった。
宮殿に入り左手に折れる。西館に出入りするのは初めてだ。こちらには政務室や侍従、侍女たちの部屋がある。
レオンは四階まで上がった階段近くの部屋に入った。
彼に続いて中へと入る。ほかに人は誰もおらず、大きな書棚と机が存在感を大いにアピールしていた。レオンの政務室なのかもしれない。
机のそばまで行くとレオンが振り返る。視線の行き先はベティにあった。
「レオン殿下、私に聞きたいこととはなんでございますか?」
ベティが恐縮しながら尋ねる。
レオンはゆっくりした足取りでマリアンヌの元へ来ると、左腕を取って袖をまくりあげた。
その行動にベティが目を丸くする。
マリアンヌは、「あっ」と声を漏らしてから、口もとを急いで手で押さえた。
「これは火傷の痕だとマリアンヌから聞いたが、何歳の時のものだ」