クールな王太子の新妻への溺愛誓約

レオンの表情は真剣そのものだ。
そんなことをベティに聞いて、いったいどうするつもりなのか。幼少期の火傷だと言ったはずなのに。やはりレオンはこの傷のことを気にしているのだ。

マリアンヌは再び不安に襲われた。


「……それは確か……八歳、いえ、十歳だったかと」


ベティの目が左右へ揺れる。


「なにで火傷をしたのだ」


そういえば、マリアンヌ自身も火傷の原因を聞いたことはなかった。


「……なに、でございますか……。それはですね……」


ベティの瞬きが激しくなる。動揺しているのは明らかだった。


「ベティ? どうしたの?」


マリアンヌが声をかけると、ベティが今度は唇を震わせる。明らかな挙動不審ぶりだ。

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