クールな王太子の新妻への溺愛誓約

「なにで火傷を負ったのだ」


レオンが同じ質問を繰り返す。


「……えっと、お湯でございました。ええ、そうです、お湯でございます」


ベティの鼻が膨らむ。それは、これまでにないほど大きかった。
それを見たマリアンヌは、嘘を吐いているのではないかと直感した。


「お湯? お湯ごときでこのように激しく火傷をするものなのか」

「え、あぁ、はい、そうですね。熱湯だったのかと……」

「ベティはその場に居合わせなかったのか」

「私は……はい、おりませんでした……」


それはおかしいとマリアンヌは思った。以前、夕食前の湯浴みの際パトリシアにこの傷のことを尋ねられた時には、そばにいたと答えたのに。
どちらが本当なのか。それとも、どちらも嘘なのか。


「では、質問を変えよう」


レオンは追求の手を緩める気はなさそうだ。

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