クールな王太子の新妻への溺愛誓約

その目が泳いでいるのは、マリアンヌからも見える。様子がおかしいのは明らかだった。


「神に誓っても、そのことに嘘はないと言い切れるか?」

「――神、でございますか?」


ベティが大きく目を見開く。


「それは……」


ベティは言葉に詰まってしまった。

どうして『嘘はない』と言えないのか、マリアンヌにはまったくもって理解できない。今までそのように何度となく説明されてきたし、そのことについて疑いを持ったこともなかったからだ。

マリアンヌの中にも、ベティはなにかを隠しているんじゃないかという疑念が生まれた。


「ねぇ、ベティ、本当は違うの? 私は高熱のせいで記憶を失ったんじゃないの?」


マリアンヌはベティの顔を覗き込んだ。


「熱に浮かされたのは事実でございます。ただ……」

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