クールな王太子の新妻への溺愛誓約

マリアンヌの腕にすがりつくように答えたベティは、再び言葉が出てこなくなった。ベティの眉間に深い皺が刻まれ、唇は真一文字に結ばれた。


「ただ?」


マリアンヌが言葉の先を急かすと、ベティは一度合わせた視線を再び外す。


「マリアンヌは、ピエトーネの国王夫妻の本当の娘ではない。違うか?」


レオンは鋭い視線をベティに突き刺した。彼女の出方を探るようにじっと見据える。
ベティはハッと息を飲み、時が止まったかのように顔が固まってしまった。

レオンの言ったことに衝撃を受けたのは、ベティだけではない。マリアンヌもまた、息を吸い込んだまま動けなくなった。

(……私がお父様とお母様の娘ではない……? いったいどういうことなの?)

あまりにも突飛すぎて頭がついていけない。


「レオン様がなにをおっしゃっているのか、私にはわからないのですが……」


当惑を率直に伝える。激しく瞬きをするマリアンヌに、レオンはこれまでにないような優しい眼差しを向けた。

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