クールな王太子の新妻への溺愛誓約

(レオン様……?)

マリアンヌの鼓動がトクンと揺れる。
レオンは目を細めて微笑むと、再びベティを見た。


「ベティ、正直に答えてくれないか。マリアンヌはある時ピエトーネの国王夫妻の元に突然現れたのではないか? 大きな怪我を負って」


ベティはそれ以上無理だというほど目を大きく見開き、突然その場にうずくまった。


「――ベティ?」


マリアンヌが咄嗟に彼女の肩を抱くと、ベティは声を震わせて泣き始めた。


「……申し訳……ございま……せん……」


言葉が途切れ途切れになる。レオンの言っていることを肯定しているも同然だった。


「ベティ、どういうことなの?」


その背中をさすりながら、マリアンヌが尋ねる。

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