クールな王太子の新妻への溺愛誓約

「マリアンヌ、ピエトーネへ行くぞ」


レオンが突如、思いがけないことを言う。


「……はい?」


マリアンヌは虚を突かれたように口を半開きにした。
今からピエトーネへ向かうということは、やはりマリアンヌをフィアーコから追い立てるということなのか。

(そんなの嫌……!)

マリアンヌは力なく首を横に振った。


「どうしたんだ」


レオンが訝しげに眉をひそめる。


「……行きたくありません」


消え入りそうな声でマリアンヌは訴えた。


「なぜだ」

「ピエトーネには帰りたくありません。……レオン様のおそばにいたいのです」

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