クールな王太子の新妻への溺愛誓約
どうしてこれほどまでにレオンを焦がれるのか。マリアンヌは自分でもわからない。
ただレオンから離れたくない。その一心だった。
マリアンヌが声を絞り出すと、レオンは硬くしていた表情をふっと和らげた。
あまりにも優しい笑みを浮かべたレオンを見て、マリアンヌが動揺する。そんな笑顔を見たのは初めてだったからだ。
「マリアンヌ、なにか勘違いをしているようだな」
「……勘違いですか?」
レオンが「ああ」と頷く。
勘違いとはどういうことか。マリアンヌが首を傾げる。
「私との結婚をなしにしたいのですよね?」
「どうしてそうなるんだ」
「どこの誰かもわからない、記憶はない、ひどい火傷の痕がある。そんな私では、レオン様にふさわしくないと……」
レオンが小さく息を吐く。
それは呆れて漏れたため息ではなく、自分の心を落ち着けるためのように見えた。
マリアンヌに大きく一歩近づいたレオンが、躊躇いがちにそっと手を伸ばす。