クールな王太子の新妻への溺愛誓約

◇◇◇

レオンとマリアンヌは翌日の早朝、護衛の者たちを引き連れてピエトーネへ向け出発した。
馬車の中でのレオンは、時折マリアンヌを気づかう様子を見せながらも考えるように窓の外を見るばかり。

マリアンヌはそんな彼の様子を窺いながら、大人しく馬車に揺られる。

(私との結婚をやめるわけじゃないんだもの。不安になる必要はないわ)

自分にそう言い聞かせ、半日かけてピエトーネの王宮へやってきた。

フィアーコの紋章が入った豪奢な馬車が到着し、王宮がにわかにざわめく。その中からフィアーコの王太子とマリアンヌが降りてきたものだから、いったい何事かと侍従たちは大わらわだった。

すぐさま謁見の間に通され、ふたりの前に国王夫妻が現れた。


「フィアーコの王太子であられるレオン殿がいらっしゃるとは。婚礼の儀まであとわずかでございますな。ところで、マリアンヌまで一緒とは……?」


レオンは胸に手を当て会釈をすると、「人払いをしていただけないでしょうか?」と申し出た。

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