クールな王太子の新妻への溺愛誓約

アンニバーレとヴァネッサが顔を見合わせる。
わざわざ遠くのピエトーネまでやってきたのだ。ただ事ではない。

アンニバーレはレオンの言うとおりに謁見の間から側近や侍従たちを出し、神妙な面持ちで王座に座り直した。


「マリアンヌのことで伺いたいことがございます」


ふたりは再び顔を見合わせた。そのひと言でなにかピンときたのか、今度は不安に色塗られている。


「……マリアンヌのことというと?」


アンニバーレが顎をぐっと引きながら尋ねる。


「七年前のことです」


レオンのそのひと言で、ふたりの顔から血の気が引いていく。ふたりとも不意を突かれたような顔だ。
マリアンヌはレオンがなにを探ろうとしているのかわからず、ただ黙ってレオンのそばに控えていた。


「病によって記憶を失ってしまったとマリアンヌから聞きましたが、それは違うのではないですか?」

< 125 / 286 >

この作品をシェア

pagetop