クールな王太子の新妻への溺愛誓約
アンニバーレとヴァネッサが顔を見合わせる。
わざわざ遠くのピエトーネまでやってきたのだ。ただ事ではない。
アンニバーレはレオンの言うとおりに謁見の間から側近や侍従たちを出し、神妙な面持ちで王座に座り直した。
「マリアンヌのことで伺いたいことがございます」
ふたりは再び顔を見合わせた。そのひと言でなにかピンときたのか、今度は不安に色塗られている。
「……マリアンヌのことというと?」
アンニバーレが顎をぐっと引きながら尋ねる。
「七年前のことです」
レオンのそのひと言で、ふたりの顔から血の気が引いていく。ふたりとも不意を突かれたような顔だ。
マリアンヌはレオンがなにを探ろうとしているのかわからず、ただ黙ってレオンのそばに控えていた。
「病によって記憶を失ってしまったとマリアンヌから聞きましたが、それは違うのではないですか?」