クールな王太子の新妻への溺愛誓約
鋭い指摘をしながらも、レオンは努めて穏やかな口調だ。
突然の質問にアンニバーレとヴァネッサは唇を震わせながら、どう答えるべきか考えあぐねている。
「マリアンヌは、おふたりの娘ではないのでは?」
決定的なひと言がふたりから完全に言葉を奪った。泳いでいた目はピタリと止まり、唇は半開き。人形と見まがう様子だった。
どのくらい時が過ぎたか。
「……どうしてそのことを?」
アンニバーレがようやく言葉を取り戻す。
そのセリフは、マリアンヌを実子ではないと認めるものだった。
「実はベティから……といっても、彼女が自ら話したわけではありませんので、どうか彼女を責めることはなさらないでください」
レオンはそう断りを入れてから、ベティとのやり取りを細かく話して聞かせた。
その話のどこにも口を挟むことなく、ふたりは黙って聞いていた。