クールな王太子の新妻への溺愛誓約

鋭い指摘をしながらも、レオンは努めて穏やかな口調だ。

突然の質問にアンニバーレとヴァネッサは唇を震わせながら、どう答えるべきか考えあぐねている。


「マリアンヌは、おふたりの娘ではないのでは?」


決定的なひと言がふたりから完全に言葉を奪った。泳いでいた目はピタリと止まり、唇は半開き。人形と見まがう様子だった。

どのくらい時が過ぎたか。


「……どうしてそのことを?」


アンニバーレがようやく言葉を取り戻す。
そのセリフは、マリアンヌを実子ではないと認めるものだった。


「実はベティから……といっても、彼女が自ら話したわけではありませんので、どうか彼女を責めることはなさらないでください」


レオンはそう断りを入れてから、ベティとのやり取りを細かく話して聞かせた。
その話のどこにも口を挟むことなく、ふたりは黙って聞いていた。

< 126 / 286 >

この作品をシェア

pagetop