クールな王太子の新妻への溺愛誓約

「……レオン殿の言うとおりだ」


アンニバーレの肩から力が抜ける。


「大事なことを黙っていて申し訳ない」


首を小さく横に振りながら、アンニバーレは大きなため息を吐いた。


「マリアンヌ、隠していて申し訳なかった」

「マリアンヌ、ごめんね」


ふたりが続けざまにマリアンヌにも謝罪する。ヴァネッサにいたっては目に涙を浮かべていた。


「……いいえ。大切に育ててくださったこと、とても感謝しています」


本当の娘ではないのかもしれないなどと疑うことなく、今日まで生きてきた。それは、実子同然に愛情を注いで育ててくれたからこそ。今さらふたりの愛情を疑う気はない。


「それでレオン殿、もしやマリアンヌとの結婚を取りやめたいから今日はここへ……?」

「いいえ。そのつもりはございません」

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