クールな王太子の新妻への溺愛誓約

真っ直ぐな眼差しでレオンがはっきり答えると、ふたりはほっと胸を撫で下ろした。


「いや、それを聞いて安心したよ。では、マリアンヌが私たちの実子ではないことを確かめるためだけに?」


レオンが首を横に振る。ぐっと顎を引き強い視線でふたりを見た。


「国王陛下、タカマッサという国があったのを覚えていらっしゃいますか?」

「もちろん。フィアーコとの友好関係が盤石だった国だ。何年か前にフィアーコに統一されたと記憶しているが」


アンニバーレが答える。
マリアンヌは結婚が決まった際にフィアーコの歴史を学び、そこで初めてタカマッサのことを知った。ただ、どうしてその国の話が今、レオンの口から出てくるのかはわからない。

マリアンヌの記憶が正しければ、レオンが結婚する予定だった王女はその国出身だ。旅先で盗賊に襲われ、国王夫妻もろとも命を落としたと。


「タカマッサの国王夫妻が七年前に亡くなっていることはご存じですか?」

「いや、それは知らなかった。ふたり揃って?」

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