クールな王太子の新妻への溺愛誓約
アンニバーレが興味深そうに身を乗り出す。
ピエトーネは周りを山に囲まれた小国。地形的なことが原因で、近隣諸国の情報が伝わってきづらい一面を持っている。タカマッサの国王夫妻が亡くなっていた話も、アンニバーレは初耳だった。
「ふたりだけではありません。ひとり娘も一緒でした。」
「……なんと、そうであったか」
ふたりは苦しそうに顔を歪めた。
「ですが、その娘だけは遺体が見つからなかったのです」
「遺体が見つからない……? 盗賊がさらったということか」
「いえ、そうではありませんでした」
レオンが言うには、派遣した部隊が数日後に盗賊を捕らえたが、護衛のもろとも殺害したと証言したそうだ。盗賊は姫の身柄を拘束していなかった。ところが、彼女の遺体だけ見つからない。
「レオン殿はなにを言いたいのか」
国王はレオンの真意が読めず、その目を真っ直ぐレオンへ向けた。