クールな王太子の新妻への溺愛誓約

レオンは表情を引きしめ背筋を伸ばす。
なにを言うのかと、その場にいる者すべてがレオンの口を注意深く見た。


「マリアンヌはその王女、クレアなのではないかと申し上げたいのです」


マリアンヌが「えっ……」と声を漏らす。

(私が、その王女……? レオン様の許嫁だったというクレア様……?)

国王夫妻は驚きに目を丸くしたまま、どこかに意識が飛んでしまったよう。
三人とも時が止まったようにその場で固まってしまった。


「クレアは幼い頃、誤って私が倒した燭台によって腕に火傷を負いました。マリアンヌの腕にある火傷の痕と非常によく似ているのです。顔も同様に。十二歳のクレアの面影が残っている。記憶を失ってしまったのは、おそらく盗賊に襲われた時のショックが原因ではないかと」


レオンはそこでマリアンヌを見つめた。温かい眼差しだったが、マリアンヌはまだ混乱の最中にいた。

クレアにも同じ火傷の痕。遺体が見つかっていない。顔が似ている。マリアンヌがピエトーネに保護された時期と、事件が起きた時期がほぼ一緒。
それらのことがマリアンヌの頭の中でぐるぐると回っていた。

< 130 / 286 >

この作品をシェア

pagetop