クールな王太子の新妻への溺愛誓約
レオンは表情を引きしめ背筋を伸ばす。
なにを言うのかと、その場にいる者すべてがレオンの口を注意深く見た。
「マリアンヌはその王女、クレアなのではないかと申し上げたいのです」
マリアンヌが「えっ……」と声を漏らす。
(私が、その王女……? レオン様の許嫁だったというクレア様……?)
国王夫妻は驚きに目を丸くしたまま、どこかに意識が飛んでしまったよう。
三人とも時が止まったようにその場で固まってしまった。
「クレアは幼い頃、誤って私が倒した燭台によって腕に火傷を負いました。マリアンヌの腕にある火傷の痕と非常によく似ているのです。顔も同様に。十二歳のクレアの面影が残っている。記憶を失ってしまったのは、おそらく盗賊に襲われた時のショックが原因ではないかと」
レオンはそこでマリアンヌを見つめた。温かい眼差しだったが、マリアンヌはまだ混乱の最中にいた。
クレアにも同じ火傷の痕。遺体が見つかっていない。顔が似ている。マリアンヌがピエトーネに保護された時期と、事件が起きた時期がほぼ一緒。
それらのことがマリアンヌの頭の中でぐるぐると回っていた。