クールな王太子の新妻への溺愛誓約
◇◇◇
見覚えのある景色が広がっている。
そうだ。ここはピエトーネ。マリアンヌの自室だった。
開いた目の先にはレオンがいた。
「やっと目を覚ましてくれたか」
安堵したようにマリアンヌの頬に手を触れる。
「……ごめんなさい」
「いや、クレアが謝ることではない」
――クレア。
そう呼ばれても、自分のことのようには思えない。自分じゃない別の人の名前を呼ばれているような感覚だった。
「突然あんな話をして悪かった。驚くのも無理はない」
レオンに謝らせてしまい、マリアンヌは力なく首を横に振った。
ゆっくりと体を起こすと、レオンは「大丈夫か?」と心配そうに手を貸してくれた。そして、そのままレオンに抱きすくめられる。