クールな王太子の新妻への溺愛誓約

ベティのその質問にマリアンヌが黙り込む。
会話と呼べるものはなにひとつできなかったから。妻になるというのに挨拶すらまともにできていない。


「どうされたんですか?」


ベティが心配そうにマリアンヌの顔を覗き込む。


「――あ、ううん。今日は国王陛下もいらっしゃったし、緊張してほとんどしゃべれなかったわ」


きっとレオンも同じだろう。もともと人見知りをする気質で、初対面だったから素っ気なかったに違いない。マリアンヌは自分にそう言い聞かせた。


「そうでございますよね。しかも見目麗しい方となれば、いつもは快活なマリアンヌ様が借りてきた猫のようにおとなしくなられても仕方のないことにございます」

「それはどういう意味?」


マリアンヌはベティを軽く睨み、唇を尖らせた。


「どういうもなにも、そのままの意味でございますが?」


ベティがあっけらかんと言う。

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