クールな王太子の新妻への溺愛誓約

難しそうな表情をして考え込んでいるマリアンヌの顔を、レオンが心配そうに覗き込む。


「あ、いえ……。この光景を見たことがある気がしたものですから」


レオンの顔がパッと華やいだ。


「本当か?」


マリアンヌの肩を掴み、レオンが真剣な表情で聞き返す。


「はい」


マリアンヌがコクンと頷くと、レオンは嬉しそうに笑った。

その笑顔も、きっとマリアンヌの記憶のどこかに眠っている。それならば、それを取り戻したい。ひとつの小さな記憶の欠片をきっかけとして、マリアンヌは強く思った。


「レオン様、私、クレアの時のことをもっと思い出したいです。レオン様と過ごした時間を忘れたままにしたくない」


切実な願いだった。
肩に置かれたレオンの手に、マリアンヌが手を重ねる。

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