クールな王太子の新妻への溺愛誓約
“なにか”が、すぐに“キス”と直結してしまい、マリアンヌは気が動転してしまった。
「やはりなにかございましたんですね……」
ベティは眉尻を下げて憐れむような表情をした。両手を胃のあたりでぎゅっと握り、なにかを悟ったように頷く。
「――や、やだ。なにもないってば!」
マリアンヌが必死に否定する。
(もしかして、ベティは私たちのことを見ていたの?)
真面目なベティのこと。結婚前にキスなど、とんでもない破廉恥行為だと咎めるつもりなのかもしれない。マリアンヌにかまをかけて白状させようとしている可能性だってある。
(……絶対に言うものですか)
マリアンヌは心に誓い、顔を引き締めてベティを見た。
「なにかあったのなら、正直にお話しくださいませ。お食事が済んでもマリアンヌ様がなかなかお戻りにならないから、私は気が気じゃありませんでした」
「だ、だからね、それは別に……」