クールな王太子の新妻への溺愛誓約

ベティはやはり、帰りの遅いマリアンヌを探してバラ園へ来たのかもしれない。
絶対に口を割るものかと誓ったそばから、ベティの真っ直ぐな視線を前にマリアンヌはしどろもどろになる。目を白黒させた。


「ケンカをなさったのでしたら、お早めに仲直りをした方がよろしいですよ」

「……え? ケンカ……?」


マリアンヌはポカンと口を開けた。
“キス”じゃなくて“ケンカ”?


「違うのですか?」


ベティが目を瞬かせる。


「な、なんだぁ。驚かさないでよー。私はてっきり見られたのかと――」


マリアンヌはそこでハッとして口もとを押さえた。うっかり口を滑らせたことに気づいたのだ。
ベティのまつ毛がさらに激しく動く。


「見られた、とおっしゃいますと? いったいなにを、でございますか?」


ベティは顔をぐっとマリアンヌへ近づけ、大きな目をこれでもかというほど見開いた。

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