クールな王太子の新妻への溺愛誓約

ぴしゃりと叱られるとばかり思っていただけに、ベティの反応はマリアンヌにとって予想外のものだった。


「こちらへ来た当初のレオン殿下の対応があまりにも冷たかったものですから、どうなることかと心配していたのです。そんな私の心配をよそに、そんなに仲よくおなりになられていたとは……」


ベティが感慨深げに頷く。


「真面目なベティのことだから、私はてっきり大目玉をくらうかと思ったわ。白状した時のベティの様子が尋常じゃなかったから」

「……私としたことが……それは失礼いたしました。気が動転したのは確かでございますが……」


ベティは罰が悪いといった様子だ。


「とにもかくにも、仲よくおなりになることは、とても喜ばしいことにございます」

「ありがとう、ベティ」

「ですが、マリアンヌ様、結婚するまで一線を越えることは推奨いたしませんよ? 婚前交渉は“バツ”です」


ベティはそう言いながら、胸の前で手を交差させた。

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