クールな王太子の新妻への溺愛誓約

「そ、それはないから心配しないで!」


マリアンヌ自身もそこまではさすがに無理だ。どんなふうにしたらいいのかも、まったくわからない。未知の世界のなにものでもないのだから。


「ところでマリアンヌ様、ピエトーネではいったいどのようなお話をされてきたのですか?」


ベティは突如、真面目顔で話を切り替えた。
夕食の前に話そうとして、それっきりになっていた。


「国王陛下とお話しをされてきたのですよね?」

「……うん」


マリアンヌも急に神妙な面持ちになる。どこからどう話したらいいのか、マリアンヌはしばらく考え込むようにしてから、ポツリポツリと話し始めた。

マリアンヌが国王夫妻の実子でないことは知っていたベティだったが、まさかタカマッサの王女だったとは思いもよらないことだった。その王女はレオンの許嫁だったのだから。
しかも本当の両親は殺されていたなどと。

それはレオンとマリアンヌがキスをした話を吹き飛ばしてしまうほど、強烈な話だった。

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