クールな王太子の新妻への溺愛誓約
呼吸もままならないほどにきつく締められ、マリアンヌがベティを止める。
ところが、ベティも負けてはいない。
「このくらいで根を上げていてはいけませんよ。美しいラインは我慢から、でございます。――フンッ!」
ベティが奇声を上げてコルセットを締めると、マリアンヌは「うっ……」とうめき声を漏らした。
確かにベティの言う通りかもしれない。あれからずっとレオンはマリアンヌを第一に考え、とにかく甘やかすのだ。政務以外はマリアンヌと過ごし、侍従たちを寄せつけない。
終始甘い眼差しをマリアンヌに注ぎ、マリアンヌはずっとドキドキしたまま。一緒にとることのなかった昼食まで、時間を割くようになっていた。マリアンヌの“心臓への負担”も顧みず、時折抱き寄せキスの雨を降らせる。
そんなレオンにマリアンヌの心は完全に溶かされていた。
(でも、こんなに苦しかったら、婚礼の儀の途中で倒れちゃうわ)
「……ねぇ、ベティ、少し緩く縫い直してもらうようお願いしてくれない? そうじゃないと、きっと私、最後まで持たないと思うの」