クールな王太子の新妻への溺愛誓約

いくら自分が長年待ち焦がれたクレアだとしても、見た目があまりにもひどい状態になったら、レオンの愛情だって保障はない。


「わ、わかったわ」


マリアンヌは拳を握りしめ、眉間に力を込めた。


「婚礼の儀までに元に戻すわ!」

「本気でございますか?」


ベティは信じていないようだ。目元に笑みが滲んでいる。


「本気も本気。大真面目よ」


目指すは、このドレスのようにシュッとしたライン。指の先で若干摘まむことのできる肉を落とそうと、マリアンヌは決意した。


「承知いたしました。では、ドレスはこのまま仕上げに入っていただくよう申し伝えておきます」

「そうして」


マリアンヌが意気揚々と告げると、ベティは口角をニッと持ち上げた。

なんとなくはめられた気がしなくもない。
だが、宣言してしまった手前、『やっぱりやめるわ』とはとても言い出せないマリアンヌだった。

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