クールな王太子の新妻への溺愛誓約
マリアンヌが足を止めると、レオンが「どうした」と訝る。
「あ、えっと……」
あと一時間もすれば夕食の時間。その前に揚げパンをひとつ平らげてしまったら食べ過ぎになってしまう。それこそ減量は無理だ。
かといって、せっかくマリアンヌのためを思ってレオンが持ってきてくれた揚げパンを食べないわけにもいかない。
マリアンヌはにっちもさっちもいかなくなってしまった。
「少し間食を控えようかと……」
正直に打ち明ける。
するとレオンは「なぜだ」と眉をひそめる。
「実はさっき、婚儀の際に着るドレスを試着したのですが……」
レオンに“太った”などと言ってもいいものかと、口に出したそばから後悔が襲う。いつもはきはきとしゃべるマリアンヌは、ボソボソと口ごもった。
レオンの目が冴え渡ったようになる。
「もしかして太ったということか」