クールな王太子の新妻への溺愛誓約

これまでベティはいろいろなことを教えてくれたが、そのことに関してはいっさいなしだ。恥ずかしいからと言えば、それまでだが。
ピエトーネの社交の場でそういった類の話が始まると、羞恥心から輪を抜けることが常だった。

(婚儀までになんとかしなくちゃ)

マリアンヌが別の方に意識を飛ばしていると、レオンは突然クスクスと声を立てて笑い始めた。
マリアンヌがキョトンとした顔をする。


「あの、レオン様……?」

「……いや、悪い。すごい剣幕で私を追いたてたかと思えば、今度は悩ましい顔で赤くなったり。ほんとおもしろいな、マリアンヌは」

「――お、おもしろいだなんて」


以前にも言われたが、レオンは誉めているつもりなのだろうか。女性ならば誰だって“かわいい”とか“綺麗だ”と言われたいのにと、マリアンヌは頬を膨らませた。


「かわいいと言っているんだ。マリアンヌのことがかわいくて仕方がない」

「えっ……」


不意打ちの言葉にマリアンヌの鼓動が弾む。

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