クールな王太子の新妻への溺愛誓約

レオンはマリアンヌの肩を引き寄せ、ふわりと抱きしめた。


「婚礼の儀が待ち遠しいよ。早くマリアンヌを手に入れたい」


レオンの囁き声が耳元で甘く響く。


「レオン様……」


マリアンヌは今にも気が遠くなりそうだった。そっと引きはがされたマリアンヌが瞼を閉じると、レオンの唇が重なる。優しく繰り返される口づけに頭の中が痺れてくる。マリアンヌは甘い陶酔感に包まれた。

ひとしきりキスを交わした後、レオンが「揚げパンはどうする?」と尋ねる。すっかり気をよくしたマリアンヌは「はい、いただきます」と笑顔で答え、レオンと分け合って食べた。

(夕食を少し控えればいいだけのことだわ)

せっかくレオンが持ってきてくれた揚げパン。やはり食べないわけにはいかない。
それに、レオンからは『痩せすぎだ』というベティとは正反対の意見ももらった。どちらの言葉に重みがあるかと問われれば、答えは簡単。レオンに軍配が上がってしまう。

マリアンヌはほくほく顔で揚げパンを頬張った。

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