クールな王太子の新妻への溺愛誓約

「いいから食べて」


袋の中には四つも入っている。レオンがひとつ食べるとしても、さすがにマリアンヌひとりで三つは無理だ。またベティに『間食のし過ぎです』と叱られるに決まっている。


「おいしいものは大勢で食べたら、よりおいしくなるのよ」

「マリアンヌがそう言っているんだ。手を出せ」


ふたりからそう言われれば、マートも断る理由はない。


「はい!」


喜び勇んで両手をマリアンヌへ差し出した。
マリアンヌは続けてレオンにも手渡し、自分もすぐに頬張る。

(……何度食べても本当においしい。フィアーコ随一、いえ、大陸一だわ)

満足そうに食べるマリアンヌを、レオンもマートも微笑ましい顔で見ていた。


「マリアンヌは本当にこの揚げパンが好きなんだな」

「大好きです」


そう言ってから、大きく口を開けて大胆にかぶりつく。レオンが見ていることを忘れ、夢中でひとつを平らげてしまった。

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