クールな王太子の新妻への溺愛誓約
マリアンヌは視線を前へと向け、その記憶をたぐり寄せるように思いを馳せる。
少しずつ集まっていく“記憶の欠片”。ピエトーネにいた頃にはその一片すら思い出せなかったが、レオンのそばにいることで蘇ってくる。それはおそらくマリアンヌにとって、レオンの存在がそれほど大きかったことの証だろう。
時間をかければ、きっとすべてを思い出せるに違いない。マリアンヌはそう確信した。
その時、不意に馬車が停車する。
どうしたのかと、マリアンヌとレオンは顔を見合わせた。その直後、マートが勢いよく降りたのか馬車がぐらりと揺れ、マートのものではない声が聞こえてくる。
「マリアンヌはここで待っているんだ。いいか、絶対に出るんじゃないぞ」
レオンの眉は吊り上がり、目には異様なまでの力が込められる。今まで見たことのない、殺気に満ちたような顔だった。
「レオン様……?」
マリアンヌが不安に声を震わせる。
レオンはそばに置いてあった剣を握りしめ、馬車から飛び降りた。直後に重なり合う金属音。
マリアンヌの心臓が嫌なリズムを刻み始め