クールな王太子の新妻への溺愛誓約

(もしかして盗賊……!)

怒号と剣の交わる音を聞いているうちに、マリアンヌの体が震え始めた。頭が割れるように痛い。こめかみにドリルのような鋭いものを押し付けられている感覚だった。鼓動は暴れ、頭が破裂しそうになる。

それでもなんとか意識を保つ。

(……レオン様が危ない……)

マリアンヌの体が反射的に動いた。馬車の中にあったもう一本の剣を握り、おぼつかない足で馬車を降りる。無我夢中だった。

盗賊らしき者たちは三人いた。マートにはひとりが襲いかかり、レオンはふたりを相手にしていた。

マリアンヌが馬車から降りたことに気づいたそのうちのひとりが、不気味な顔で近づいてくる。
マリアンヌはその瞬間、体が強張ってしまった。


「マリアンヌ!」


レオンもマリアンヌに気づき、ひとりを相手にしながら目を大きく見開く。

レオンを助けなければ。そう思うのに、マリアンヌの足は動かない。両手で剣を握りしめたまま、震える膝でなんとか立っているような状態だった。

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