クールな王太子の新妻への溺愛誓約

「マリアンヌに指一本でも触れたら、ただではおかぬぞ!」


レオンの声が静かな森の中に響き渡る。
目を血走らせた盗賊が、マリアンヌに向かって来ようとした時だった。マリアンヌの脳裏に、あるシーンが再生される。

バタバタと倒れていく護衛の者たち。盗賊の前に立ちふさがったのはクレアの父、タカマッサの国王だった。その行動も空しく、国王も盗賊に剣を突き立てられる。母は、少し離れたところに血まみれで倒れていた。

それはまさしく、マリアンヌが失ったクレアの記憶だった。


「イヤーーーーーッ!」


マリアンヌの手から滑り落ちた剣が、彼女の足元に転がる。マリアンヌは頭を抱えてその場にうずくまった。


「マリアンヌ!」


レオンの声が、意識を手離す前に聞こえた最後のものだった。

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