クールな王太子の新妻への溺愛誓約

◇◇◇

ひとりで立っていた。四方をいろいろな光景が超高速で流れていく。

(……あれはお父様だわ。……あ、お母様もいる……)

それは、産みの両親の姿だった。

離れたくないと言って駄々をこね、政務をする父親の膝に乗って仕事の邪魔をするクレア。宮殿の庭で母とお茶を飲むクレア。
そして、レオンがいた。優しい眼差しが、いつでもクレアに注がれている。

泉のごとく次々に溢れてくるどのシーンも、幸せな色で満ちあふれていた。

繰り返し流れていく光景の中、ふと自分を呼ぶ声が聞こえてきた。でもその名前は、“クレア”ではない。“マリアンヌ”だった。

(……違う。私、思い出したの……!)

瞼を開けると、そこには不安に染められたレオンの顔があった。


「マリアンヌ!」


目を開けた彼女に顔を近づける。ほっと安堵した表情だった。


「マリアンヌ、大丈夫か?」


レオンに尋ねられ、首を横に振る。

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